古川のひとりごと

洗車の朝の、ちいさな満足

古川太郎 /  / 車のこと

休みの日の朝、空がよく晴れていると、つい車を洗いたくなります。誰に頼まれたわけでもないのに。

バケツに水を張って、ホースを引っぱり出す。最初のひと流しで、フロントガラスを伝う水が朝日にきらっと光る瞬間が、僕はけっこう好きです。宮城の夏は朝のうちが涼しいから、汗ばむ前のこの時間がちょうどいい。

スポンジを動かしているあいだは、不思議と頭がからっぽになります。先週の疲れも、来週の予定も、なんとなくどこかへ行ってしまう。ただボンネットの上を泡が滑っていくのを見ているだけ。無心になれる時間って、案外こういうところに転がっているのかもしれません。

拭き上げまで終えて、少し離れたところから眺める。水滴の跡もなく、ボディがすっきりと光っているのを見ると、たいしたことをしたわけでもないのに、妙に満ち足りた気持ちになります。きれいになったね、と心の中でつぶやいてみたり。

立派な洗車場でなくていい。自分の家の前で、好きなように手をかける。それだけで、いつもの車がちょっとだけ自分のものに戻ってくる気がするんです。みなさんも、晴れた休みの朝に、よかったら。


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