古川のひとりごと

雨の日の運転がちょっと好き

古川太郎 /  / 車のこと

晴れの日もいいけれど、僕はちょっとだけ、雨の日の運転が好きなのです。

朝、窓の外がしとしとと音を立てていると、たいていの人は気が重くなるみたいです。僕もまあ、洗濯物のことなんかは思います。でも、いざ車に乗り込んでドアを閉めると、急に世界が静かになる。あの瞬間が、けっこう好きなんです。

ワイパーがことことと、一定のリズムで動いてくれる。速すぎず、遅すぎず、ちょうどいい間隔に合わせるのが、雨の日のちょっとした楽しみです。フロントガラスの向こうがふっと晴れて、また滲んで、また晴れて。なんだか呼吸を合わせているみたいで、運転しているこっちまで落ち着いてきます。

信号待ちで止まると、濡れた路面に赤や青の光がゆらゆら伸びていて。宮城の田んぼ道なんかだと、灰色の空と水を張ったみたいな田んぼが地続きになって、どこまでが空でどこからが地面か分からなくなる。あれを眺めているだけで、不思議と急ぐ気持ちがほどけていきます。

そういえば昔乗っていた軽は、雨の日になるとワイパーがちょっと不機嫌で、たまにキュッと鳴いたりしました。今思えばあれも愛嬌だったなあ、と。

傘もささず、濡れもせず、自分だけの小さな部屋でゆっくり進んでいく。雨の日の車内って、案外いちばん心が休まる場所なのかもしれません。次に雨が降ったら、少しだけ遠回りして帰ってみようかな、なんて思っています。


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