古川のひとりごと

直売所の野菜は気まぐれで

古川太郎 /  / 雑記

朝、ちょっと遠回りして直売所に寄るのが、最近のささやかな楽しみです。まだ眠そうな町を抜けて、野菜を見に行くだけの寄り道。

田んぼの脇にぽつんと建つ小さな小屋。中に入ると、朝採れのトマトやきゅうりが、まだ土の匂いをまとったまま並んでいます。値段は手書きで、ときどき消した跡があったりして。きっちりしていないところが、なんだか僕は好きなのです。

顔なじみのおばちゃんが「今日のなすは出来がいいよ」と教えてくれます。買うつもりのなかったものまで、ついかごに入れてしまう。曲がったきゅうりも、双子みたいにくっついたトマトも、そのままで並んでいるのがいい。形が揃っていないのは、ちゃんと生きてきた証拠なんだろうな、なんて思ったりします。

季節が変わると、棚の顔ぶれもそっと入れ替わります。夏が終わるころには枝豆が、寒くなれば白菜や大根が、いつの間にか主役の場所に座っている。並んでいるものを見れば、今がどのあたりの季節なのか、なんとなくわかってしまう。カレンダーよりも正直です。

買った野菜を助手席に置いて、ゆっくり家まで帰ります。特別なごちそうにするわけでもなく、ただ茹でて、塩をふって食べるだけ。それでもじゅうぶんおいしい。立派なものでなくていい、というのは、車も野菜も同じなのかもしれません。

今日はどんな顔ぶれが並んでいるだろう。そう思いながら、明日もまた、ちょっとだけ早起きしてしまいそうです。


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