古川のひとりごと

サービスエリアの、ほんの十五分

古川太郎 /  / 車のこと

遠出の途中、ふっと車を停めるあの場所が、僕はわりと好きだ。目的地でもないのに、なぜか一日の真ん中みたいな顔をしている。

長く運転したあとにサービスエリアへ滑り込むと、まずやることは決まっている。トイレに行って、それから駐車場の隅でうんと背伸びをする。固まった肩がぱきりと鳴って、ああ、体って正直だなと思う。たいした距離でもないのに、座りっぱなしの僕の背中は小さく文句を言っている。

売店をひとまわりするのもいい。その土地でしか見かけない味のまんじゅうや、妙に存在感のある揚げ物。買うかどうかは半々で、結局あたたかい何かを片手に、ベンチでもそもそ食べる。ご当地の軽食って、味そのものより「ここまで来たんだなあ」という気分を一緒に飲み込んでいる気がする。

ベンチに座っていると、知らない人たちの旅の気配が通りすぎていく。大荷物の家族連れ、地図を広げる二人組、ひとりで缶を傾けるおじさん。誰がどこから来て、これからどこへ向かうのか、僕には何も分からない。分からないまま、みんなが少しだけ同じ場所で息を整えている。それがなんだか、しずかに嬉しい。

十五分も休めば、体はもう次へ行く気になっている。車に戻ってエンジンをかけると、さっきまでの強ばりが嘘みたいにほどけている。目的地はまだ先だけれど、この何でもない小休止が、たぶん僕の遠出のいちばん好きな部分なのだ。


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