休みの日って、何をするか決めずに家を出るのがいちばん楽しい気がします。僕の場合、その行き先はだいたい温泉とラーメンに落ち着くのですが。
朝の冷たい空気の中、車のエンジンをかけて、特に目的地も決めずに走り出す。宮城の北のあたりは、少し走ればすぐに田んぼと山が広がって、どこを向いても気持ちのいい景色になります。窓を少し開けると、土と稲のにおいがして、ああ休みだなあ、とのんびりした気分になるんです。
目当てはまず、湯けむりの立つ小さな温泉。観光地みたいに立派じゃなくていい。古い暖簾をくぐって、ぬるめのお湯にゆっくり肩まで浸かると、平日にこわばっていたものが、すうっとほどけていきます。窓の外で湯気がゆらゆら昇っていくのを、ただ眺めているだけの時間が、なんだか贅沢に思えます。
湯上がりは、お腹が決まってラーメンです。これがまた不思議なもので、温まったあとに食べる一杯は、いつもより少しだけ沁みる。あっさりした醤油でも、こってりした味噌でも、その日の気分で選んで、湯気ごとすするのが好きなんです。カウンターの隅で、知らない誰かと並んで黙々と食べる、あの空気もいい。
帰り道はもう夕方で、山の向こうがオレンジに染まっていたりする。特別なことは何もしていないのに、心は妙に満たされている。立派な予定なんてなくていい。湯と麺と、ひとりの運転。僕にとっての休日って、結局そのくらいでちょうどいいのかもしれません。