運転席にひとりで座っていても、なんだか「ふたり」みたいな夜があります。今日はそんな、車の中の相棒たちの話を。
ドリンクホルダーに収まった缶コーヒー。あれって、僕にとってはちょっとした相棒なんです。冬の朝、まだ温かいうちに一口飲んで、走り出す。半分くらい残してエンジンを切る頃には、すっかり冷めている。それでも最後まで付き合ってくれる感じが、なんだか嬉しくて。
助手席には、たいてい誰も乗っていません。でも不思議と、寂しくはないんです。畳んだままの上着とか、ふらっと寄ったコンビニの袋とか、そういうものがちょこんと置かれていると、ああ今日も相棒がいるな、と思えてくる。誰かを乗せた日の余韻も、しばらくそこに残っている気がします。
ルームミラーにぶら下げた小さなお守りは、もう何年も色あせたまま。ご利益があるのかどうかは、正直わかりません。それでもカーブを曲がるたびにゆらゆら揺れていると、見守られているような、そんな気持ちになります。
好きな曲を流して、田んぼ道をのんびり走る。宮城の北のほうは、空が広くて、夕方の色がやけに長く続きます。音楽と、缶コーヒーと、揺れるお守りと。立派な装備じゃなくていい。そういう小さな相棒たちと過ごす時間が、僕はけっこう好きなんです。