大崎の居酒屋・バル

居酒屋 花もん

鳴子・居酒屋 / 古川太郎

鳴子居酒屋駐車場あり朝営業あり夜遅く営業公式サイトあり
居酒屋 花もん(公式サイトの代表画像)
写真出典:公式サイト(削除依頼があれば即対応します)

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  • 鳴子温泉字新屋敷132-5
  • 0229-82-3303
  • 17:30〜22:00とされる(18:00〜23:30との情報もあり・変動あり)
  • 水曜とされる(変動あり)
  • 店の隣に駐車スペースがあるとされ、近隣の鳴子温泉湯巡り駐車場

夜、鳴子温泉駅の改札を出ると、湯の匂いを含んだ湿った空気が鼻先を撫でる。街灯に照らされた駅前通りには、赤提灯や湯宿の看板が控えめに並び、人の話し声よりも先に、どこかの裏路地から流れてくる湯の音のほうが耳に届く。そんな駅前の一角、大崎市鳴子温泉字新屋敷132-5に暖簾を掲げるのが居酒屋「花もん」だ。改札から徒歩わずか一分ほど、駅前の路地を数歩折れれば、もうその明かりが目に入る近さで、素泊まりの宿を取った旅人が食事処を探す時、この店の存在は非常に心強い。

外観はこぢんまりとした二階建ての一階部分。看板は控えめで、湯めぐりの合間にふらりと通り過ぎてしまいそうな地味な佇まいだが、一度戸を引いて中へ入ると、案外整った小綺麗な空間が広がっていることに気づく。木を基調にしたカウンターと、仕切りの効いた小上がりが同居する造りで、狭さを感じさせない工夫が随所に施されている。店内の照明はやや落とし気味で、暖色の光が壁を撫でるように広がり、湯上がりのほてった肌に心地よく馴染む種類の明るさになっている。

切り盛りするのは女将さんと大将で、鳴子観光協会の紹介では「アットホームな雰囲気」の店として案内されている。カウンター越しの距離感が近く、常連には気安く声をかけつつ、旅の客には温泉地らしい柔らかい応対で場をほぐしてくれる。会話を強要される押し付けがましさは無く、静かに飲みたい人はそのペースで、話したい人には話しかけたくなる余白を作ってくれる。この案配のうまさが、鳴子の夜の一軒として長く選ばれ続けている理由の一つだろう。

この店の大きな魅力の一つは、東北の日本酒を軸にした酒の品揃えだ。宮城・山形・岩手・秋田・青森・福島と東北六県の顔ぶれが、時期ごとに入れ替わりながら黒板やメニューに並ぶ。地酒好きが盃を重ねながらじっくり過ごすのに向いており、その日入っている一本を女将さんに教えてもらう時間そのものが楽しみになっているようだ。旅の記録として銘柄を書き留めていく客もいると聞き、いわゆる「利き酒目的」の一軒としての側面もしっかり持っている。普段東京や仙台では見かけない蔵の名前と出会えるのは、湯治客の楽しみでもある。

料理は和洋の創作を織り交ぜた構成で、鶏の唐揚げや焼き鳥のセット、赤身の旨さで評判の馬刺し、牛タン、ホルモンの野菜炒め、締めのラーメンなどが並ぶ。派手さで押し切る種類の店ではなく、酒に寄り添う品を過不足なく揃えているのが持ち味だ。素泊まりで鳴子入りした旅人にとって、駅前でしっかり食事もできる貴重な選択肢であり、宿の夕食を付けずに湯めぐりの日程を優先した客の受け皿としても機能している。品数を絞りすぎず盛りすぎず、旅先で迷わずに注文を組み立てられる規模感が、湯治の街にはよく馴染む。

席はカウンターと小上がりの二本立て。小上がりは仕切りが効いており、他人の目線を気にせず落ち着いて話せる。一方のカウンターは女将さん・大将との距離が近く、その日のおすすめや鳴子の湯話に耳を傾けながら過ごせる。二人旅、一人旅、湯宿仲間との小さな集まりと、シーンに応じて席を選び分けられるのが小さな居酒屋ながら幅広く応えられる理由だろう。冬の夜には店内のストーブの温もりが背中まで届き、外気の冷たさとの落差が湯上がりの体には妙に心地よい。

営業時間は資料によって17時30分から22時、あるいは18時から23時30分ごろと幅があり、定休は水曜とされる(いずれも変動の可能性があるため、訪問前の確認が確実)。予約は電話 0229-82-3303 で受け付けている。人気の週末や紅葉時期はカウンターが早めに埋まるため、早めの入店か事前予約を心がけたい。冬場の鳴子は雪が積もる日も多く、車で訪れる際は路面状況の確認を忘れずに。鉄道での移動なら陸羽東線の時刻表を折り込んで日程を組むと、宿から店、店から宿までの動線が無理なく成立する。

花もんの前後の動線もまた、この店を魅力的にしている要素だ。駅から徒歩数分の圏内には「滝の湯」や「早稲田桟敷湯」といった鳴子の共同浴場、温泉神社、駅前の土産物店などが点在する。日中に鳴子峡や鳴子ダム方面を歩き、夕方に湯につかり、夜は駅前の花もんで地酒、というコースが自然に組める。派手な観光の掛け持ちではなく、大崎市鳴子温泉というひとつの町の呼吸に体を合わせるような、静かな一日の締めくくりに向いた店だ。地図を見ながら宿を選ぶ段階で、この店の位置を頭に入れておくとプラン全体が整いやすい。

個人的に印象に残っているのは、雪が舞う夜、女将さんに勧められた宮城の地酒の一杯だ。仕込みの背景を短く話してもらいながら口に含むと、湯上がりの体がゆっくりと解けていく感覚があった。派手な演出は無いのに、翌朝まで記憶に残る一杯というのは、こういう街場の一軒でしか成立しない種類の体験だと思う。旅先の記憶の粒度は、意外にもこうした小さな店の温度で決まるものだ。

料理と酒の相性を、女将さんが軽く提案してくれるのもありがたい。今日入った一本が、辛口寄りの馬刺しに合うか、旨みの強い焼き鳥に合うかを短い言葉で示してくれるので、日本酒に慣れていない客でも組み立てに困らない。難しい能書きを並べる店ではなく、むしろ「今日の一本と今日のおすすめ」を、その場の温度で結び付けてくれる案内係のような存在だ。旅先で「地酒を試したいけれど詳しくない」というレベル感の人にこそ、ちょうど良い伴走をしてくれる店といえる。

湯治文化の残る鳴子温泉郷は、東鳴子・鳴子・中山平・鬼首・川渡と個性豊かな湯が集まる地域で、湯めぐりを目的に長期滞在する客も少なくない。連泊の途中で食事のバリエーションを求めた時、駅前で気軽に入れる花もんの存在は、日々のメニューに変化を与えてくれる貴重な選択肢になる。夕食付きの宿でも、二泊目・三泊目には少し違う顔ぶれの料理を口にしたくなるもので、そんな時にふらりと寄れる駅前の店があるかどうかは、湯治の満足度を意外にも左右する。

小さな居酒屋だからこそ表れるのは、店主と客が同じ時間を共有している感覚だ。カウンター越しに料理の湯気と客の会話が同じ空気の中に溶け合い、注文と応対のリズムが場を作っていく。効率だけを追う店では味わえない、湯の町らしい緩やかな時間の流れ方が、この店の芯のところにある。誰かのために作る料理と、誰かと共に酌み交わす酒の距離感が近い店で、旅の疲れが少しずつほどけていく。派手さは無いが、その代わりに残るものが多い夜になりやすい。

鳴子で素泊まりの宿を検討している人に、駅前の食事処として真っ先に挙げたい一軒だ。地酒、料理、湯上がりの心地よさ、そして人の温度が、無理なくひと皿の上に並ぶような時間を作ってくれる。派手さは無くとも、また泊まったら寄りたくなる——そんな駅前の常宿のような存在感が、この店の魅力の芯にある。湯の町の夜を語る時、この店を素通りするわけにはいかないと感じる客は、きっと少なくないだろう。

店舗情報

住所
宮城県大崎市鳴子温泉字新屋敷132-5 地図で見る
電話
0229-82-3303
営業時間
17:30〜22:00とされる(18:00〜23:30との情報もあり・変動あり)
定休日
水曜とされる(変動あり)
駐車場
店の隣に駐車スペースがあるとされ、近隣の鳴子温泉湯巡り駐車場も利用しやすい
公式サイト
www.welcome-naruko.jp で見る

※営業時間・定休日・メニューなどは変わることがあります。最新情報とご予約は各店の公式のご案内でご確認ください。 記載の誤り・修正・削除のご依頼は 運営者情報 からどうぞ。


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