大崎の焼肉・ホルモン

焼肉 八兆

鳴子・焼肉・ホルモン / 古川太郎

鳴子焼肉・ホルモン朝営業あり夜遅く営業公式サイトあり
夕方五時、国道47号を鳴子御殿湯駅方面から東鳴子の温泉街へ入の写真(出典:www.tamatsukuri-s.com)
写真出典:公式サイト(削除依頼があれば即対応します)

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  • 鳴子温泉字鷲ノ巣50-2
  • 0229-82-3858
  • 17:00〜22:00 とされる(変動あり)
  • 火曜(変動あり)

夕方五時、国道47号を鳴子御殿湯駅方面から東鳴子の温泉街へ入っていくと、湯宿の灯りに混じって、どこからか炭火と味噌の香ばしい匂いが夜風に乗って流れてくる。その匂いを辿った先、控えめな看板の奥に焼肉八兆(はっちょう)は静かに暖簾を掲げている。大崎市鳴子温泉字鷲ノ巣50-2、東鳴子温泉の湯治場の路地に馴染むように立つ小さな一軒で、初見だと通り過ぎてしまいそうな佇まいこそがこの店の性格をよく表している。派手さを排した外観は、鳴子温泉郷のなかでも湯治文化が色濃く残る東鳴子の空気にしっくり収まっている。

看板メニューは自家製の甘辛い味噌ダレを絡めた牛ホルモン、いわゆる特製みそホルモンだ。網の上でじゅうと弾ける音とともに立ち上る湯気は、湯上がりの身体を素直に刺激してくる。ホルモンだけでなく和牛カルビや定番の焼肉メニューも揃い、さらにエビ・イカ・ホタテといった魚介や、季節にはナマコまで顔を出すと案内されている。サラダ、手作りアイスクリーム、ナン付きのカレーまでラインナップに並び、焼肉店にしては品書きの幅が異例に広い。予算はディナーで3,000円台が目安で、湯治で連泊する客が飽きずに通える価格帯に収まっているのが東鳴子らしい。

この幅の広さには理由がある。BSE問題で牛肉が敬遠された時期を、鶏や魚介など他ジャンルの品を増やして乗り越えてきた経緯が、今の品書きに残っているとされる。厳しい時期を柔軟さで受け止めてきた店の履歴が、そのままメニュー表に刻まれている、と受け取ってよさそうだ。長い連泊で毎晩通う湯治客にも飽きを感じさせない構成は、鳴子温泉郷という地の需要から自然に形成されてきたものだろう。歴史と地域性が絡み合った品書きは、単なる焼肉屋の枠を超えた広がりを感じさせる。

ご主人はもともと精肉業に携わっていた方で、古川エリアの焼肉店に通ううちに一念発起し、この東鳴子で店を構えたと語り継がれている。開店から二十年以上、地元では難しいと言われた立地で温泉客と常連客に支えられ続けてきたとされる一軒だ。カウンター越しに主人と短い会話を交わしながら網を囲む距離感が、この店ならではの魅力。無口すぎず饒舌でもない、湯上がりの身体にちょうどよい塩梅の会話が、皿の上の温度と一緒に染みてくる。

店内はカウンター四席と、小上がりに四人ほど座れる座敷を備えたこぢんまりとした造り。席数が非常に限られており、地元客と温泉宿の宿泊客でいつも賑わうため、予約をしてから訪れるのが安心だ。開店直後の17時ごろを狙えば、予約なしで滑り込める日もあるとされる。長年の常連が名前で呼ばれ、一見の湯治客もいつの間にか会話の輪に混ざっていく——鳴子温泉郷らしい社交の場としても機能している一軒で、席の少なさそのものが濃い時間を生み出しているとも言える。

季節ごとの表情も豊かだ。冬は雪化粧の温泉街を歩いた後に熱い網の前で身体を温める夜、夏は青葉の湯宿から下駄を鳴らして訪れる宵、秋は紅葉の香りが残る夜風のなかで暖簾をくぐる時間——鳴子温泉郷の四季を五感で受け止められる立地でもある。ゴールデンウィーク、紅葉シーズン、雪見の週末など、大崎市の観光カレンダーに合わせて席の埋まり方が動く傾向がある。地元の常連が休みを避けて通う日と、旅人が集中する日のリズムを把握しておくと、より落ち着いた席にありつきやすい。

営業は夕方17:00〜22:00頃、火曜が定休とされ、いずれも変動する場合がある。連休や紅葉シーズンは、予約なしでの入店が難しくなる週末が続く傾向にあるため、電話0229-82-3858での事前確認は必須級の作法だと考えておきたい。地元客の常連比率が高いので、その日の来客状況によっては予約が優先される可能性もある。長期休暇や臨時休業もあり得るため、遠方から訪れる際は電話で二重に確認しておくと安心だろう。宿の予約と同時に食事の枠も押さえておくのが、東鳴子で夜を確実に楽しむための定石だ。

利用シーンとして真っ先に浮かぶのは、宿の夕食を付けずに素泊まりを選び、外で夜を組み立てたい客の一次会だ。東鳴子温泉の共同浴場で汗を流し、湯冷ましがてら路地を歩き、この店で味噌ダレの香ばしさに身を委ね、宿へ戻って再度の湯——という湯治スタイルの一日が自然に組み上がる。夕食プランを事前に決めてしまうタイプの宿泊とは違い、その日の身体と気分に合わせて夜の輪郭を描ける自由度が、東鳴子と八兆の組み合わせにはある。

日中の観光動線とも組み合わせやすい。鳴子峡や鬼首方面、あ・ら・伊達な道の駅、日本こけし館などを昼のうちに回っておき、夜は東鳴子でしっとり締める、というのが大崎市の温泉旅の王道の一つ。岩出山から国道47号を鳴子方面へ上るルートの終着点として位置づけると、車の動線としても収まりがよい。日帰りで大崎の温泉を楽しむ客にとっても、湯上がりの一杯として抑えておく価値のある存在だ。

個人的な感覚で言うなら、鳴子温泉郷で夜に焼肉という選択肢は意外に少なく、しっとりした東鳴子の空気の中でみそホルモンをつつける八兆の存在は本当に貴重だと感じる。派手な観光地化を避けてきた東鳴子は、湯宿と共同浴場、そして小さな飲食店がゆるやかに連なる街並みが芯で、その空気を象徴する飲食店の一軒がこの店だ。旅人と地元客の距離感が近すぎず遠すぎず、湯治場の作法が生きている場所と言える。

他店との違いという観点で見ると、八兆の輪郭が浮かびやすい。派手なチェーン焼肉店の均質さとは対極の、店主一人の背中と網の音でリズムが刻まれる小箱。地方の焼肉店にありがちな量勝負でもなく、湯治文化と地続きの品書きで長く支えられてきた履歴が、他所には真似できない味の背景になっている。大崎市鳴子温泉の夜を語る上で外せない一枚看板として、東鳴子の湯宿に泊まる際の食事候補に置いておきたい一軒だ。

店舗情報

住所
宮城県大崎市鳴子温泉字鷲ノ巣50-2 地図で見る
電話
0229-82-3858
営業時間
17:00〜22:00 とされる(変動あり)
定休日
火曜(変動あり)
参考ページ
tabelog.com で見る

※営業時間・定休日・メニューなどは変わることがあります。最新情報とご予約は各店の公式のご案内でご確認ください。 記載の誤り・修正・削除のご依頼は 運営者情報 からどうぞ。


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