JR古川駅を降りて駅前大通を進むと、夕暮れどきには炭火の匂いがふと鼻先をかすめる区画がある。食彩処 縁(えにし)はその一角、古川駅前大通4丁目3-8に暖簾を掲げる居酒屋だ。徒歩10分ほどの距離感で、仕事帰りにネクタイを緩めた男性、買い物袋を提げた女性、旅先で一杯を求めて歩く出張客が、それぞれの理由で店の前に立ち止まる。派手なネオンで呼び込むタイプではなく、暖簾の白と炭の香りだけで存在を示す、大崎市古川らしい落ち着いた構えの一軒である。
看板は炭火で仕上げる串焼き・焼き鳥だ。親鶏を含む鶏の各部位を炭で丹念に炙り、脂の落ち方や火の入り方で味の輪郭を作り分けているとされる。皮のパリっとした食感、もも肉のじゅわりとした肉汁、砂肝の歯ごたえと、部位ごとの表情がはっきりしているのが持ち味。塩とタレを使い分け、素材の水分を炭で追い込みすぎない絶妙な焼き加減が、常連が「ここに来る理由」として語る要素になっているようだ。手羽先などの名物も揃い、居酒屋の王道を高い水準で押さえている。
串焼きの脇には、旬の魚介を使った刺身や酢の物、季節野菜の一品料理がずらりと並ぶ構成だ。春先はホタルイカや初鰹、初夏は白身魚の昆布締め、秋は秋刀魚や戻り鰹、冬は寒鰤やあん肝といった、宮城の海が運ぶ季節の移ろいが皿の上に映る。炭の香ばしさで押していく前半、刺身と酢の物で口をリフレッシュする中盤、締めにご飯物か麺という流れが自然に組める品揃えで、大崎市古川の駅前で「ちゃんと食事として飲みたい夜」に応える構成になっている。
ビールへのこだわりも、この店を語るうえで外せない要素だ。スーパードライの「SUPER COLD 認定店」として知られ、極低温で提供される生ビールは、炭火の一皿と合わせたときの一杯目の高揚感が別格だと評判のようだ。日本酒や焼酎、サワー類も揃うとされ、串焼きにハイボール、刺身に冷酒、揚げ物にレモンサワーといった組み合わせを、その日の気分で選び分けられる。ドリンクを注ぐ手元にも所作の丁寧さがあり、酔わせる店ではなく味わわせる店という設計が透けて見える。
店内は全席喫煙可で、駅前の大衆居酒屋らしいラフな空気感を持つ。カウンターに一人でふらりと座る客、テーブルを囲んで会社帰りに集う三、四人組、小上がりに靴を脱いで腰を落ち着ける年配のグループと、席ごとに違う時間が流れているのが古川駅前らしい光景だ。喫煙可という設計は好みが分かれるところだが、昔ながらの居酒屋の空気を求める層にとってはむしろ寛げる要素になっている。派手な音響でも装飾でもなく、炭と会話と冷えたグラスの音でもたせる、王道の設計である。
アクセスは古川駅から徒歩約10分。飲んだ後に電車で仙台方面へ帰る、あるいは駅前のホテルへ戻る動線が組みやすい。専用駐車場については公表情報からは確認できないため、車利用の場合は近隣のコインパーキングを見込むのが無難だ。田尻や鹿島台方面から古川に出て一杯やる、松山や三本木からタクシーで駅前に集まる、といった大崎市内の移動にもよく組み込まれる立地で、駅前大通という通り沿いという点でも、初訪の客が道に迷いにくいのはありがたい。
営業は月曜から土曜の17時から翌0時までで、料理・ドリンクとも23時30分がラストオーダー、定休は日曜・祝日とされる。日曜が祝前日にあたる場合は営業する案内もあり、時間・休業は変動する前提で捉えておきたい。予約は電話0229-23-3933やホットペッパーグルメ等のネット予約から受け付けており、金曜夜、給料日直後、年末の忘年会シーズンは席が埋まりやすいので、確実に座りたい日は数日前の連絡が安心だ。半個室的な席から先に埋まる傾向があると聞こえてくる。
利用シーンの幅は広い。仕事帰りにカウンターで一杯だけ引っかけて帰る夜、同僚と忘年会・新年会をまとめて予約する夜、久しぶりに帰省した友人と近況を交わす夜、少人数で誕生日や送別を祝う夜と、駅前居酒屋らしいさまざまな場面に応じる。派手なコース料理でド派手に祝うのではなく、旬の一品を丁寧に囲みながら会話を重ねる、そんな大人向けの席として使われている印象だ。大崎市古川で「静かに、けれど手を抜かずに飲みたい」場面の受け皿になっている。
季節ごとの動きにも味わいがある。春は花見帰り、夏は祭りの後、秋は行楽帰りの立ち寄り、冬は寒風から逃げ込む一軒として、古川の一年を映す。特に冬の炭火の熱は、大崎の冷え込みが厳しい夜に体温を戻すのに向いていて、燗酒を合わせてじっくり温まる過ごし方が似合う。夏場は冷酒と鮮魚の刺身、炭で炙った野菜の一皿で、暑さを流し落とすような時間を作れる。四季を通して通いたくなる構成が、常連を長く支えている土台になっているように感じられる。
駅前大通の徒歩圏には、二軒目に流れやすいバーや、締めのラーメン店、夜遅くまで開くカフェが点在している。縁で炭火と生ビールを楽しんだ後、路地裏のバーへ流れてゆっくり一杯、あるいは駅寄りの店で締めの麺、といった夜の動線を組みやすいのが古川駅前の魅力だ。大崎市外から出張で訪れる客にとっても、駅から徒歩圏で完結する飲みの回遊性は貴重で、宿泊とセットで組める点も出張族に支持される要因になっている。
個人的な感想を挟むなら、駅前大通の慌ただしい通りから一歩踏み込んだ時に立ち込める炭の香りが、この店の第一印象を決定づけると思う。忙しさで凝り固まった肩が、席についてグラスを口にした瞬間に落ちていく感覚は、駅前居酒屋の醍醐味そのものだ。飾らない設計だからこそ、その日の疲れの分だけ味の深さが変わって感じられる、そんな種類の店である。
駅前立地で長く続く居酒屋には、地元の日常を静かに支える役目がある。縁は、派手な話題性で語られる店ではないが、古川駅前の夜景の一部として、勤め帰りの一杯を受け止め続けている。仙台まで通勤する層、地元の中小企業に勤める層、駅前で買い物や打ち合わせを済ませた層が、それぞれの理由で暖簾をくぐる。街の日常を炭火とグラスの音で切り出してみせる、大崎市古川の駅前らしい骨太な一軒として、頭の片隅に置いておきたい店である。
店舗情報
- 住所
- 宮城県大崎市古川駅前大通4丁目3-8 地図で見る
- 電話
- 0229-23-3933
- 営業時間
- 月〜土 17:00〜翌0:00(料理・ドリンクL.O.23:30)とされる
- 定休日
- 日曜・祝日とされる(日曜が祝前日の場合は営業との案内あり)
- 公式サイト
- syokusaidokoro-enishi.com で見る
- SNS
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